リフォーム会社の運営上の問題のひとつとして、設計の人材の質というのがあります。
新築案件をメインに扱う設計事務所というのは、採用段階から大学で建築設計を学んだ新卒を雇い、働き始めてからも同じく建築学科を卒業してさらに実務経験を積んだ先輩所員の厚いサポートにより設計技術を習得させます。
それに対して、リフォーム会社で設計・コーディネート職に就く人というのは、必ずしもこれまでの人生で建築設計を学んだり経験しているわけではないのが実情です。他業種から転向してきた人も多く、新卒で入ることもあまりない。当然そういう人たちは設計に必要な知識も経験もないので、正しい図面を描き方を知らない。
そこで正しい知識と技術を授けてくれる上司がいればいいのですが、その設計職の上司も同じような経歴で体系的な知識を持ち合わせておらず、これまでの自分が馴染んでいる、社内でなんとなく採用されてきたやり方に則った回答しかできない。また、そもそも設計職がおらず、まわりや上司は営業や工務の人ばかりであったり。
つまり上司と部下、お互いがきちんとした知識を持たないまま、分からないまま無理やり物事を進めているのです。正しい知識を得られないまま何年も一緒に仕事をしていてもまともな関係など築けるはずもなく、むしろ悪化してお互い苦しむという悪循環に陥る。そんなリフォーム会社は多いのではないでしょうか?
さらにそれを他の上司や役職者も見ているが、その人たちもまた営業や工務出身であったりで正しいアドバイスができず、結果根性論のような話になって「もっと現場に行って勉強しろ」などと言う。それはもちろん大事なことですが、リフォームの勉強の一側面であって、いま当事者が悩んでいることはそれでは解決できません。いま本人は、現場で訳の分からないまま突っ立って職人を眺めることではなく、もっと体系的な知識の習得を望んでいるのです。
社員が望む環境を用意できない会社は優秀な人材を確保できません。そういう人には他にも選択肢があるのでよその会社に行きます。だからリフォーム会社は社員の定着率が低い。それで会社が開き直って「そんな奴は来てくれなくていい」、「最近の若い奴は根性がない」というのは簡単です。波風も立たず、そう言う年配者自身も傷つかずに済むかもしれません。しかし会社は発展しません。それよりも、具体的に問題に取り組む方が良い人材が来るし、将来自分も楽になります。正しい教育の機会を用意すれば正しく育ちます。それが教育です。
目標は、「他所よりも少し値段が高いけど、あなたに頼むことにする」と言っていただくこと。ここがゴールです。あるいは、相見積りすらしない。最初から、星の数ほどあるリフォーム会社のなかから、ただ一社の指名される存在になることです。仮に相見積りになったとしても、最初の現場調査時にお客様と顔を合わせた瞬間から信頼を得て、プランと見積りを提出して時点では、他の競合を差し置いてほぼ相手の気持ちを固めさせる。そういう存在になることです。
それは、そのリフォーム会社の価値が認められたということです。値段が安いというのは、本当の意味で認められたというのではありません。ただ単に御用聞きとして都合よく利用されているだけです。適正価格というものをお客様にきちんと根拠を示して理解いただき、そしてその値段で契約をいただくこと。これが出来てはじめてそのリフォーム会社の運営は経営も含めてラクになり、安定した経営基盤を得ることになります。
ただの“業者”で終わらないためには、“選ばれる設計力の有無”が勝敗を分けます。これこそが他社との差別化です。中身で相手を圧倒してください。
リフォーム業界では相見積りの際に勝率3割ならその人は優秀という評価がなんとなくあります。しかし、これにはどんな根拠があるのでしょう? きちんとデータから導き出された数値でしょうか? 実際の根拠はないように思われます。
たしかに昔は3割勝っていれば残りを取りこぼしても、世の中全体が成長路線だったので他に仕事がいくらでもあったので困りませんでした。
しかし、そんな時代はもうとっくに終わりました。3割では足りません。そんな悠長なことは言ってられなくなったのです。その事にまずは気づいてください。日本は未曽有の人口減少の時代を迎えています。それでもリフォーム会社はどんどん増えています。これが何を意味するか? 人口が減ると仕事は減る、それでも競合は増え続けている。つまり少ない仕事の中から頑張って3割勝っても足りないということです。ではどうすれば良いか? 先述したように仕事は少ないのですから勝率を上げるしかありません。
リフォームアカデミーでは、勝率5割がスタートラインと考えています。そしてその5割を達成できるプランナーを“エキスパートプランナー”と称しています。このような人材を育てるのが私たちの研修です。それは単にプランニングの仕方や図面作成の方法を教えるにとどまりません。講義の中では、お客様との接し方、マナーに至るまでアドバイスさせて頂きます。
“3割打者は優秀”というのは幻想。これからは最低でも勝率5割を達成してください。これはお客様がリフォーム会社を選ぶ時に最後に天秤にかけられる会社でいることがまず前提としてあります。この土俵で勝てるようになる。やっとのことで3社に残っているレベルでは、そこから先の勝負には進めません。
なぜ『設計・プレゼン研修』に価値があるのか?
それは、ネットで検索して出てくるような、誰でも入手できる話をしないからです。その代わり、本当に有益な話をします。
そういったことを具体的に話します。
こういう話は決してネットに出てきません。出てくるのは抽象的な話ばかりです。このサイトでも書かれません。そもそもネット上でリフォームについて語られているのは、ほとんどがセミナーの案内ばかりで、内容は誰にでも話せるような営業ノウハウばかりです。それでは“案件の数”を増やすことはできても“質の向上=高収益”にはつながりません。
そういうやり方は美しくありません。美しくないやり方は合理的とは言えません。合理的でないやり方はつまるところ良い結果を生み出しません。
例えば下地材ひとつとっても一見似たようなものが何種類かあり、その実中身は全然違う建材はたくさんあります。“構造用合板”と“コンパネ”の違いが分かって適材適所に手配できるリフォーム会社の社員はどれだけいるでしょうか? こういった基本中の基本をきちんと理解しないまま漫然と仕事をしていると品質に関わるミスを犯してしまいます。略称だけを知っていても内容を知らなければ意味はありません。それぞれの素材の特性を体系的に把握して設計し、お客様に説明しなくてはなりません。それが出来ていないと、お客様は出来上がった現場を見て「こんなはずではない」となる。もっと悪いのは、後々工事写真などで本来使用するはずの建材、仕様になっていないことが発覚した場合です。その時点で直そうとするとお客様に大変な迷惑がかかるだけでなく、そのリフォーム会社は信用を失い、二度と仕事を発注してもらえません。信用を失うのは一瞬ですが、その信用を取り戻すのには膨大な時間と努力が必要です。
私の考えをより詳しくご理解いただくためにブログもご参照ください。
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