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丁寧な食生活?

今朝、おもしろいネット記事に出会いました。ある栄養士さんのツィッターが話題になっているそうです。

内容は、巷に溢れる“丁寧な食生活”や、過度に食品添加物を排除しようとすることに対する警鐘です。

 

簡単にまとめると、この方が言っているのは『食べ物から得られるのは栄養カロリーだけではない』ということです。

例えば、不摂生の代表格のように言われがちなマクドナルドやカップ麺でも、食べる状況によっては、とても楽しかったり大切な思い出になったりしますね。

子供時代に友達と食べたカップヌードルの美味しさや、病気で弱ってる時に差し入れてもらったハンバーガーのありがたさ。そういったことについて書かれています。それは栄養価などの数値化できるものではないと。

おそらく20年以上カップ麺を口にしていない私は、ほんとうにその通りだと思いました。

楽しむことが何より大切

私自身、食べることが大好きですが、なぜ好きかというと、味が美味しいからだけではない。

誰と食べて、どんな時間を過ごしているのか、仕事がうまくいった時に関係者と喜びを分かち合ったりなど、楽しい思い出はたくさんあります。もちろんその反対の経験も。

 

食べることは、本来楽しむことであり、無理をして自分に負担を与えることであってはいけません。共働き夫婦が多い時代、仕事でしんどい時は、マクドナルドで簡単に済ませる日があってもぜんぜん良いと思います。なにも食べないより、はるかに健康的です。

 

私のまわりで、カップ麺を食べているから病気になったという人には会ったことがありません。家も同様です。漆喰など自然由来の建材はとても良いものですが、そうでないビニルクロスや化粧シートフローリングの家に住んでいるからといって健康を害したという人に会ったこともありません。

それぞれの楽しみ方があり、考え方、予算があります。食事も家づくりも、楽しむことが一番大事です。もっと自由に発想して、自分が楽な生活をすれば良いのです。

 

それはムリをしないということにもつながります。あまりに健康志向が強すぎると、自分を追い込み、摂食障害などの弊害を引き起こしたりもします。そういう時の人間というのは、カロリーなど数値に支配されている状態でしょう。執着する、だからつらい。

なんでも数値化は危険

建築家 美食
以前、施主様から教えていただいた『タコピザ』。マヨネーズをたっぷりかけて、とても美味しかったです。

食生活を数値化し過ぎるのが良くないのと同様に、これは他の消費活動などにも言えます。

例えば、クルマを購入する時、皆さまはなにを重視しますか。デザインや走行性能、燃費など、様々なことを考慮するでしょう。でも、なかには燃費など数値化できることにばかり拘る人もいます。本人はかしこく損得勘定をしているつもりなのでしょうが、私に言わせれば、その時点で損です。

 

クルマで得られる自由、運転の楽しさ、同乗者との会話。それらはすべて、燃費のように数値化できません。最近流行りの“脱炭素”も先ほどの“丁寧な食生活”に似てる部分があるのではないでしょうか。

 

人生を楽しむには、好きなものを好きな時に好きなだけ食べたり、燃費など考えずに好きなクルマに乗ったり、そういうことも必要です。科学では測れない部分にこそ人生の豊かさがあるのです。

私たちも、性能だけにとらわれず、住む人が心から楽しいと思える家を設計していきたいと思います。ーーなんだかカップ麺が食べたくなってきた。