ここ数年、私たちの事務所でも相談を受けることが多くなった古民家や空き家の扱いについて法改正が進んでいます。
まず古民家については、兵庫県で、今年2023年4月1日に法改正がありました。
これまでは、市街化調整区域(市街化を抑制する=あまり家や建物の建っていない所)で、元の住宅以外の用途に変更しようとすると、規制がかかって実現できないことがほとんどでした。例えば、「古い建物の良さをいかしてカフェをしたい」とか「地域への移住を促進する宿泊施設にしたい」とか、そういったことです。
これらは開発許可申請を出しても、許可されない状況でした。細かく言うと面積などの要件もあるのですが、とにかく市街化調整区域では、古民家の多用途への転用は現実的ではなかったということです。この用途に関する要件が、大幅に緩和されたので、今後活用が進むのではないかと思われます。
また、空き家問題についても、2019年まで遡りますが法改正がありました。
もう住む予定のない家を、他の用途に変更しようとすると、対象の部分が100㎡を超える場合「用途変更」という行為にあたるので、建築確認申請が必要でした。それが、200㎡以内であれば上述の申請が不要となったのです(例外有。詳細は法規参照)。
これは非常に大きな事で、日本の多くの住宅は200㎡以内の規模です。つまり、ほとんどの住宅は、確認申請なしに他の用途に変更できることになったのです。もちろん消防法などもあるので、それらに適合すべく、必要な申請はありますが、まずは第一段階のハードルがかなり低くなったと言えます。
このように、国や自治体、社会も含めて、古い建物、或いは、価値がなくなってしまったかに思える空き家について、いかに有効利用していくべきかと検証が進んでいます。実際、古民家をリノベーションして宿泊施設にした事例は多く見られますし、どれも大変魅力的なものとなっています。
また、昨今の建築費の高騰など、新築市場のコストが厳しさを増す中、リノベーションというのは、内装やキッチン、浴室など基本的に目に見える部分にお金を使えるので、施主様にとっても満足度の高い仕様となる傾向があります。
「新築かリノベーションで迷っている」「親から築年数の古い家を相続したが、どのように扱えば良いか分からない」など、分からないことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。