ようやく朝晩が少しだけ過ごしやすくなってきたかと思えば、先週末からの暑さで、本日の現場も大変な猛暑日でした。屋根のありがたみを感じました。
大工さんの仕事も順調で、外壁まわりは、板張りの腰板の塗装まで終わっていました。
間仕切りの下地ができてきたので、いよいよ今日は内装素材についても決めてきました。まだ少し決めるべき項目はあるのですが、打合せ項目としては、残すところ照明と外構ということになります。
外壁部分で、腰下部分を下見板貼りという工法で杉板を貼り、濃い茶色に染めた状態です。その上の白い部分は、しっくいの荒塗りの段階で、ここからさらにきめの細かい風合いに仕上げていきます。
この腰下の濃い板張りと白しっくいの間に、水平に太い木の部材を入れ、同じく濃い茶色に染めていますが、この部分を幅15㎝とできるだけ大きな材を使うことで水平ラインを強調し、伸びやかさと共に力強いアクセントともしています。濃茶のサッシともよく合っています。
古民家リノベーションといえば、よく昔の風合いをそのままに残して、ほとんど手を入れていない事例をみかけますが、耐震性能を高めようとすれば、柱と梁以外のものをすげて取り払って、新しく床や壁、天井を再度造る必要があるので、このように、できるだけ自然の素材で仕上げることが、元の建物の良さを消さないためにも必要です。
吹抜け部の天井が仕上がってきました。板張りとしていますが、これは施工の際、一枚一枚、上向きの体勢での作業となり、大工さんは大変なのですが、無事貼り終わりました。
木材の色がまだ白っぽいのですが、数年たてば日に焼けて、ある程度馴染んでくるでしょう。
既存の柱と梁は、少しベンガラの入った色で塗られていたので、それをいかして、いまより少し濃い色に再度、染めていきます。写真では分かりにくいのですが、照明器具の配線も終えています。ここまでくると、あとは内装材などの選定となりますが、下地は仕込んである状態なので、内装材の種類などは、あらかじめきめておかなければなりません。色や柄はこれから決めていけば大丈夫です。
室内の壁は基本的に白いしっくいで仕上げますが、それだけではおもしろくないので、あちこちに遊び心を加えてアレンジしています。
写真はイタリアンスタッコで、メタリックな光沢を醸し出すよう調合されたものです。金色と、写真のオレンジがかったもので悩みましたが、オレンジで決定しました。良いアクセントになりそうです。
古民家なので、石も日本的な風合いを持つものが良いので御影石を選びました。どこに使うかというと、巾木です。巾木とは、壁材と床の間の取り合い部分に入れる線状の部材ですが、木造建築の場合、多くは木やビニル系の素材が使われます。
適材適所で判断しますが、今回はLDKスペースに使用します。
石の仕上もいろいろあるのですが、あまりごつごつしたものだと、少しワイルドすぎるので、それなりに平滑なものを選びました。
床のフローリングは、質実剛健なイメージが良いということで、栗、タモ、ナラなどから絞り込んでいきました。メインの空間は栗となりました。
色合いの似ている木でも、タモは直線的な木目であるのに対し、栗は大きな曲線が入り、野性味がありながらも、優美な印象があります。
水廻り空間などは、壁紙も使うので、さまざまな色・柄を検討します。写真のものは、自由に発想するために、あえて派手なものを並べています。最終的には、ちょうど良いバランスのものが選べました。
古民家リノベーションだからといって、なにもかも和のテイストで仕上げてしまうのは、逆に古民家の持つ懐の深さを台無しにしてしまってもったいないですね。
インテリアに限らず、デザインやプランを考える時は、常に過激な案とオーソドックスな案を頭の中で同時に考えていきます。そうすると、最終的にはうまくいくことが多いです。
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古民家の再生や移築には、専門的な知識、ノウハウが必要となります。宿泊施設などに利用したい方などのために、企画プロデュースからお手伝いいたしますので、お気軽にご相談ください。