霞ヶ丘第2学童保育

家に帰ったような心地になれる場所


学童保育 保育園 学校 設計

この建物は、周囲を住宅に囲まれた坂沿いの土地に建てられた。敷地の間口は狭く、奥行きは長い。うなぎの寝床のようでもあるが、奥へ行くほどに、徐々にその幅は拡がってゆく。この特性から、建物の形状も敷地をなぞるように、だんだんと幅を広くしていくことになった。かくして、ヘビが落ち葉や枝の間をするすると進むように、密集した住宅地の隙間にこの学童保育施設は建てられることになった。

 

これらきびしい条件の立地ではあったが、一番奥まった位置の2階の窓からは、神戸の海から伸びる明石海峡大橋の先に、淡路島を望むことができる。このような視線の「抜け」や、隣地との間に咲く野花を発見する楽しみを生み出すためにさまざまな工夫をこらした建物でもある。通園する子供たちにとって、ささやかな喜びとなってくれればうれしい。


外観

外壁をコンクリート押出成形板を採用したことから、当初は素地の風合いをいかしたグレーにしようと考えたが、まわりの家々を見渡すとモノトーンの色彩が多いことに気づいた。そこで、柔らかいベージュを基調とし、正面のみ同じくコンクリート板で木目柄の、基準色より少し濃い色で合わせることにした。コンクリートがもつ硬質な質感が与える強さとやわらかい木の表情は、子供のための施設に求められる高性能な側面をそれとなく醸し出しつつも、安心感につながっているように思う。


エントランス

学童保育 保育園 学校 設計

エントランスに入った瞬間から、家に帰ってきたかのような心地でいられるよう木をふんだんに使い、空間の木質化を図っている。こどもたちの動線上で、汚れや損傷の起きやすい場所であることからも、丈夫な素材であることがのぞましい。


育成室

学童保育 保育園 学校 設計

1・2階ともに、できるだけたくさんの園児が快適に、自由に動きまわれるよう、無柱の大空間としている。腰壁や本棚などの木が暖かい雰囲気をつくりだし、等間隔で並ぶ大きな窓が、広い部屋にじゅうぶんな光をもたらす。

窓は、スタジオレベルの遮音性を誇る「T4」規格を採用しており、すばらしい効果を実感できた。


水まわり

トイレについては、掃除がしやすく清潔感が保てる素材で内装を仕上げている。

また、神戸市のガイドラインに沿って、全面的にユニバーサルデザインを取り入れている。扉幅の大きい引き戸や手すりの設置などである。


ディテール

角の部分を丸く加工するなど、子供たちが存分に動き回れるよう、安全性にも十分に配慮した設計となっている。


建築 FPVドローン 空撮
画像をクリックするとYouTubeチャンネルでご覧いただけます。

FPVドローンによる空撮でも記録された。鳥のように頭上から俯瞰する眺めと、内部空間を妖精のように飛びまわる自由な動きは、建築物の記録の方法として様々な可能性を秘めていると感じる。

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